採用ターゲットからの応募が増える求人票の書き方|良い求人票と悪い求人票

取引エージェントを増やしたり、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用を開始してみたりと、常に効果的な手法・採用チャネルを探している、という採用担当者は多いと思います。

一方で、自社の求人票を定期的に見直している方はどれほどいるでしょうか?
募集を開始したときの求人票を使い続けている、見直ししたことがない、という方が多いように感じます。
当社にも「求人票をどう書けばよいかわからない」というご相談をよくいただいきます。

実は、求人票は効果的な採用において、非常に重要な意味を持ちます。
本コラムでは、あまり理解されていない求人票の意味、そもそも中途採用の求人票には何を書けばよいのか?良い求人票と悪い求人票の具体例を用いながら解説します。

目次

求人票はなぜ重要か?

そもそも、なぜ求人票は重要なのでしょうか。
それは、求人票の内容によって、応募数や有効応募率が大きく変わってしまうからです。

なぜなら、候補者は「業務内容や入社後の役割は何なのか」「どんなスキルが求められているのか、自分は対象となるのか」「自分はそこで活躍できるのか、貢献できるのか」といったことを求人票を見て考えます。
新卒採用と異なり、即戦力の採用においては、会社名やイメージ、待遇条件だけで受ける人はまずいません。
自分のスキルが活かせるのか、スキルを伸ばしていけるのか、自分が望むキャリアを歩めるか、マネジメントはできるか、スペシャリストか、そういった部分を重視します。
また、誰しもが落ちるのは嫌なので(特にエンジニアにこの傾向が強い)、自分が選考通過する対象かどうか分かることも重要です。

つまり、即戦力採用においては、候補者にとって必要な情報のポイントが新卒採用と大きく異るため、中途採用に必要なポイントを抑えた求人票を書かないと、候補者に響きません。
有効応募の最大化、無駄な応募を減らし採用を効率化するためにも、求人票は真っ先に手を付けなければならない重要なアイテムです。

求人票を作成する前にまずやるべきこと

大前提、部門が採用したい人物像(ペルソナ)を人事が正しく理解していることがスタートです。
採用したい人材について人事と配属部門でコミュニケーションを取る際に、部門は「どんな人を採用したいか」といった応募者のスキル/経験を中心に話をされるケースが多いです。
もちろん、募集する人材のスキル要件は大切ですが、「どんな仕事を任せたいか?」「入社後、どんな成果を出してほしいか?」と言った視点を、人事が理解することも重要です。
採用したいペルソナが部門の認識とズレないためには、まず任せたい仕事やミッションといった役割を整理し、その上で、これらを実現できる方はどんな経験を持っている方なのか、どんな業界に居る方なのか、といった「スキル」を考えましょう。

求人票を作成する前のポイント

・欲しい人物像だけでなく、入社後どんな仕事を任せたいのかも把握する

・入社後どんな結果を出して欲しいかについて確認する

・任せたい仕事やミッションといった「役割」を整理した上で、どんな経験を求めるのかという「スキル」を考える

良い求人票とは?|応募が増える求人票のポイント7つ

当社が採用コンサルティングで企業の求人票を見た際には、まず下記の視点で改善点をレビューしています。
留意すべきポイント7つの中で、今回は前半3つのポイントについて説明します。

良い求人
悪い求人
  • 仕事内容のイメージがつく
  • 採用ターゲットが明確
  • 仕事内容、ポジション、待遇の整合性がある​
  • 入社後のキャリアイメージがつく
  • 情報が定量、かつ具体的
  • 募集するストーリーがある​
  • 他社との違いが明確
  • 仕事内容のイメージがつかない
  • 採用ターゲットが不明確
  • 仕事内容、ポジション、待遇の整合性がない
  • キャリアイメージがつかない​
  • 情報が定性、かつ抽象的
  • 募集背景がない or 断片的​​
  • 他社との違いが不明確​

① 仕事内容のイメージがつく

<悪い例>

■ 業務内容
当社サービスのデジタルマーケティング全般を担当いただきます。具体的にはSEO/リスティング広告/LPの運用改善/CRM体制の構築、等。

業務の内訳は分かっても、入社後どういったミッションに取り組むのか、期待される役割や責任など、実際に働く上で必要な情報が書かれていません。

<良い例>

■ 業務内容
当社では日本国内でtoC向け音楽配信サービスを展開しています。現在10万人程度のユーザーに利用いただいていますが、早期に30万人までユーザーを増やすことを目標としています。これまではインフルエンサーを使ったPRによるSNSからの集客がメインでしたが、SEO/DSP広告/DNPなど、複数のチャネルを使ったマーケティング活動を計画しています。
本求人ではSNSマーケティングを除くデジタルマーケティングの予算配分の検討と運用、チャネルごとのROIの策定と改善など、仮説を元にした数字の策定〜運用まで幅広くご担当いただく方を募集します。
なおマーケットシェアを早期に獲得することが第一であり、そのために必要なマーケティング予算は豊富に確保しています。

「①仕事内容のイメージがつく」のポイント

サービス、事業や組織の状況を自社メンバー以上に転職者が知っていることはありません。
今募集組織ではどんな取り組みをしているのか?今後何をする予定なのか?募集する方のミッションは何なのか?など、可能な限り具体的に記載しましょう。

② 採用ターゲットが明確である

<悪い例>

■ 応募資格
・ 上場企業で決算の経験をお持ちの方
・ リーダー経験をお持ちの方

要件がざっくりして具体性に欠けており、誰もが同じ認識を持てません。対象外からの応募が増えて工数増につながったり、採用ターゲットに響かず応募を喚起出来ません。

<良い例>

■ 応募資格
・ 上場企業で連結決算(年次/四半期/月次)取りまとめのご経験をお持ちの方
・ 人数を問わず、若手社員の育成経験をお持ちの方
※ 製造業における原価管理の知見をお持ちの方は歓迎します。

「②採用ターゲットが明確である」のポイント

転職者の多くは「自分の経験を活かせる求人なのか」を応募前に確認します。例えば、リーダーという言葉が何を意味しているのか、人によって認識の齟齬が生まれる表現は不適切です。
(リーダ経験とは、マネジメントの立場でメンバーの評価や目標設定も行うのか?若手への業務指導のみで良いのか?)

③ 仕事内容、ポジション、待遇の整合性

<悪い例>

■ 求人名:セールスマネジャー候補
■ 業務内容:
セールスチームの管理職候補として、チームとしての売上責任を持つ立場での業務マネジメント、チームマネジメントを行っていただきます。

■ 待遇:450万円〜700万円/月給30~55万

待遇面の下限が低く、マネジャー候補というポジションと整合性がありません。また、年収幅も広く、本当に候補なのか一般メンバーなのが不信感を生む原因となります。

<良い例>

■ 求人名:セールスマネジャー候補
■ 業務内容:
当社の商材について理解いただいた後、セールスチームの管理職として、チームとしての売上責任を持つ立場での業務マネジメント、チームマネジメントを行っていただきます。
入社後半年間はチームを持たず、まずはプレーヤーとして業務を行い、商材理解/顧客理解をいただきます。その後、入社半年のタイミングでマネジャー登用予定です。

■ 待遇:
(プレーヤーとしての期間)
450万円〜600万円/月給30〜40万円(時間外手当は別途支給)
(マネジャー登用後)
600万円〜700万円/月給45万円〜(時間外手当は別途支給)

「③仕事内容、ポジション、待遇の整合性」のポイント

求人応募時に、想定される待遇やポジションを見ずに応募する方はほとんどいません。応募前に複数の転職サイトの情報を見比べ、求人内容にギャップがないかを調べる方もいます。
今回は求人名、仕事、待遇という視点で整合性について事例を書きましたが、他にも公開している情報と求人票に書いている内容が異なるなど、情報の整合性・一貫性については注意しましょう。
また、会社として発信している情報に一貫性がある、という点は採用ブランディングに視点でも重要です。

④ 入社後のキャリアイメージがつく

<悪い例>

■ 求人:知財部門
■ 入社後のキャリア:
本人の適性や志向性を鑑みて、決定します。

これでは何も書いていないのと同じであり、自身が希望するキャリアを歩めるのか、どういったキャリアパスがあるのか分からないため、成長意欲が高い人材は応募してくれません。

<良い例>

■ 求人:知財部門
■ 入社後のキャリア:
当社では半期に1回、目標管理(MBO)とは別に、直属上司とのキャリアに関する面談を実施しています。知財部門は専門性が高い業務であるがゆえ、約8割の社員は知財部門の中でキャリアを深めることを希望していますが、海外案件の担当を希望する社員が大きいことも特徴です。 実際に現在部内メンバー30名のうち、10名は過去に当社の海外子会社への赴任経験があり、毎年2名程度を目安にローテーションで海外赴任しています。
なお、係争や紛争対応など、法務領域全般まで担当領域を広げたい方であれば、コーポレート法務の戦略法務チームへのキャリアステップも可能です。

特に即戦力の採用においては、入社後のキャリアステップ、成長イメージを転職者に持たせられるかが重要になります。 人材大手パーソルキャリアのグループ会社が2020年に834人に対し行った「転職理由・退職理由に関するアンケート調査」によると、転職先を選んだ理由の1位は「成長できる環境だと感じたから」、2位は「経験・スキルが活かせる仕事だと感じたから」と回答しており、入社後のキャリアステップや、成長イメージを持ってもらうことがいかに大切か分かります。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000013597.html

「④入社後のキャリアイメージがつく」のポイント

採用したい人物像をイメージしながら、自社の具体的な事例や取り組みなど、可能な範囲で求人票に記載しましょう。

⑤ 情報が定量的、かつ具体的

<悪い例>

■ 働く環境について:
当社では社員一人ひとりが裁量を持って就業しています。ゆえに、若手からベテラン社員までワークワイフバランスを保って働いています。

主観的な表現で具体性に欠け、本当にそうなのか転職者からすると分からないため、信頼に足る情報と判断されません。

<良い例>

■ 働く環境について:
当社では、働くママさんや副業でインフルエンサー活動を行っている社員など様々なバックグラウンドを持つ社員が就業しています。働いた時間ではなく業務の成果で評価する評価制度、業務以外に自己研鑽を推奨するカルチャーやバリュー(Keep on Learning)もあるため、下記の通り様々な取り組みを行っています。

<働きやすい環境を作る取り組み>
・ノー残業デー(毎週水曜日)
・フレックス制度(コアタイム:11:00-15:00)
・有給取得推奨キャンペーン(2020年度:有給消化率94%)
・書籍購入補助(月額1万円まで)

結果として全社平均の残業時間は6.8時間、入社後1年以内の離職率は0%です。

「⑤情報が定量的、かつ具体的」のポイント

「残業が少ない」「ワークライフバランス」「実力主義」など、話し手側の主観的な表現を用いた求人票が多く見られますが、転職者が判断する上での情報という観点では具体性が不足しています。
選考中や、入社後にギャップが生まれないためにも、記載する情報は「定量的」かつ「具体的」であることに努めましょう。

⑥ 募集するストーリーがある

<悪い例>

■ 採用背景:
事業拡大に伴う増員

募集背景は転職者からすると非常に気になる点です。こうした定型文では、応募喚起に繋がりません。ポジティブな要因である場合は、募集背景自体が競合との差別化や転職者にとっての魅力ポイントにもなり得ます。

<良い例>

■ 採用背景:
当社はこれまで国内を中心にサービス展開を進めてきた背景もあり、海外売上比率は10%程度。かつその半分はオーストラリアに依存しています。中期経営計画でも発表していますが、今後ASEAN圏への進出を計画しており、昨年度海外現地法人を立ち上げました。採用部門(東京本社海外営業課)に所属していたメンバー3名が今後海外赴任予定のため、このたび募集することになりました。 なお、2030年までに海外売上比率を30%まで向上させる目標を立てており、今後も社内異動・外部採用による増員を行う予定です。

「⑥募集するストーリーがある」

「悪い例」に似た記載をしている企業が多いのではないでしょうか?もちろん公開できない理由があるケースもありますが、採用背景は期待する役割にもつながる部分ですので、ぜひ求人票に記載ください。 また、欠員募集であった場合でも、転職者自身もそれに該当し当たり前のことなので、気にせず記載して問題ありません。

※なお、求人によって、情報の機密性から公開する情報量をコントロール必要があるケースがあります。その際は、公開する情報と募集方法(応募チャネル:広告、自社サイト、転職エージェント、ダイレクトリクルーティングなど)はセットで考え、適切にオープンにする情報量をコントロールましょう。 

⑦ 他社との違い(差別化ポイント)が明確

事業の競合会社と採用の競合会社は必ずしも同じではありません。
募集する職種やターゲットによってかわります。マーケティングの3C(自社(company)/顧客(customer)/競合(competitor))の切り口で、自社・転職者・競合企業をまずは整理しましょう。

<事例>

■ 求人:BtoB Saasセールス(新規事業立ち上げ)
■ ターゲット:
・30代前後で何らのSaasサービスの法人営業経験をお持ちの方
・顧客へのソリューション提案スキルをお持ちの方
・中小企業へのセールス経験をお持ちの方
・明確なKPIが無い中で、ビジネス視点を持って自走できる方

<差別化のための分析例>

【自社(company)】
・創業100年の大手エネルギー企業
・新卒の人気企業ランキングでは毎年トップ50以内
・企業ブランドの国内認知度は95%だが、募集する新規サービスの認知度は10%以下

【ターゲットとなる転職者(Customer)】
・タイプA:toB向けSaasを展開するスタートアップやベンチャーのセールスリーダー〜マネジャー
・タイプB:大手企業の新規事業立ち上げを行っている営業企画、またはセールス

【競合企業(Competitor)】
・タイプA:シリーズA〜マザーズ上場クラスのSaas企業
・タイプB:新規事業の積極的な大手企業の新規事業開発室(例:A社、B社)

<他社との差別化ポイント>
■ 対タイプA
・ターゲットとして狙っている法人顧客とは既存事業で取引があり、インバウンドでのコールドコールが不要であること
・既存事業での安定収益があるため、事業単体でキャッシュフローの心配がないこと

■ 対タイプB
・レポートラインが執行役員であり、◯◯万円までの投資判断は本社の稟議フローが必要ないこと
・3年後に向けた事業目標が明確に設定されていること
・投資領域が現在保有する事業シナジー以外でも将来性が認められれば許可されること(例:S社、T社)

「⑦ 他社との違い(差別化ポイント)が明確」のポイント

差別化ポイントは、情報量の少ない転職者が応募の検討段階で考えることは難しいため、企業側で準備する必要があります。
労働市場における市場価値が高い、もしくはニッチな業界や職種で対象者が少ない、ポジションであればあるほど、競合を意識して、自社の差別化ポイントを作り訴求しなければ、優秀な人材から応募が集まりません。
すべての求人を整理することが難しい場合、特に採用が難航しているポジションで、採用部門と協力しながら考えてみましょう。


以上、採用ターゲットからの応募が増える求人票の書き方についてまとめました。
業務ボリュームが増えてしまう、取引エージェントの拡大や、採用チャネルの追加を考える前に、まずは自社の求人票を見直してみませんか?

求人票は、さまざまな採用手法を効率的、かつ効果的に運用するための重要な鍵になります。
採用予算を増やさずに行える打ち手の一つであり、継続的に募集する職種ではナレッジとして中長期で残る資産になります。
ぜひ今回の記事を参考に、求人票の見直しを行ってみてください。

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